池下助手,津野教授の研究グループの論文がChemPhotoChem誌のFront coverに選出されました
2023-02-10ホットニュース
本学科 池下助手, 津野教授ならびに今井喜胤准教授(近畿大学)らの共同研究成果がドイツ国際学術誌ChemPhotoChemに掲載され、Front coverに選出されました。本研究成果は、津野研究室所属の岡太一さん(B4)が精力的に取り組んだ結果となります。また、岡さんは指導教員である津野教授と同じ東京都立文京高等学校の出身者でもあります。
研究概要
一定方向に振動する光を偏光と呼び、その中でもらせん状に回転しながら伝搬する偏光を円偏光と呼びます。円偏光発光(CPL: Circularly Polarized Luminescence)は、発光材料が右回転または左回転どちらかの円偏光を発する現象を指し、三次元ディスプレイや光暗号通信などへの応用に向けて近年特に注目が集まっています。
本論文では、高い蛍光発光能を有する二核ホウ素錯体を新たに設計・合成し、それらのCPL特性について検討を行いました。その結果、有機溶媒に溶解させた溶液状態と臭化カリウム(KBr)粉末に分散させたペレット状態で青・緑・黄色の色鮮やかなCPLを示すことがわかりました。さらに詳細な検討を行ったところ、KBr分散ペレット状態では溶液状態と比較して、最大で25倍もの効率でCPLを発していることが判明しました。今回の研究は、高効率なCPL材料の設計手法に新しい分子モチーフを提案すると同時に、円偏光を活用した省エネルギ社会の実現のための一歩となります。将来的には、円偏光有機ELなどの開発や、それに続く円偏光発光を利用した次世代型光デバイスの創出が期待できます。