池下講師,津野教授らの論文が国際学術誌 Journal of Materials Chemistry C誌のFront coverに選出されました
2026-08-03ホットニュース
本学科 池下講師、津野教授、今井喜胤教授(近畿大学)らの共同研究成果が英国王立化学会の発刊するJournal of Materials Chemistry C誌に掲載され、掲載誌のFront coverに選出されました。本研究成果は、津野・池下研究室所属の古藤美海さん(M2)が精力的に取り組んだ結果となります。
研究概要
らせん構造をもつ分子は、その右巻き・左巻きの立体構造に由来する特徴的な光学特性を示すことから、新しい光機能材料として注目されています。特に、左右の円偏光を異なる強度で放出する円偏光発光(CPL: Circularly Polarized Luminescence)は、分子の三次元構造を光の情報として反映できるため、次世代のディスプレイや光情報技術への展開が期待されています。一方、溶液中では分子の立体構造が動的に変化するため、その構造変化とCPL特性との関係を理解し、制御することが重要な課題となっています。
本研究では、溶液中で動的ならせん構造を形成する新規亜鉛(II)錯体を合成し、溶媒の種類による分子構造と発光特性の変化を詳細に調べました。その結果、ベンゼンやトルエンのような溶媒中ではらせん構造が動的に変化する一方、テトラヒドロフラン(THF)やジメチルスルホキシドなどの配位性溶媒中では、溶媒分子が亜鉛中心に配位することで三次元的ならせん構造が変化し、発光強度とCPL特性が大きく向上することを見いだしました。特にTHF中では、CPLの強度を示す指標である発光異方性因子(glum)がトルエン中と比較して約3倍に増大しました。さらに、分光測定と理論計算から、らせん構造の変化とCPL特性が密接に関係していることを明らかにしました。本研究成果は、分子の動的な構造変化を活用した新たなCPL制御の指針を提供するものであり、外部環境に応答して光学特性を変化させるキラル発光材料の開発への応用が期待されます。