高橋 大輔たかはし だいすけ
専任講師 工学修士
メールアドレス | takahashi.daisuke メールの送信時にはネームの後ろに@nihon-u.ac.jpを追記してください。 |
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居室 | 29号館509号室 研究室紹介 |
専門分野 | 高分子溶液物性,高分子物理化学 |
担当科目 | 応用分子化学実験Ⅱ(S),応用分子化学演習Ⅱ(S),応用分子化学実験および演習I |
出身地 | 千葉県 |
研究テーマ・概要
近年,話題となっているプリオン病(BSE,クロイツフェルトヤコブ病),アルツハイマー病,パーキンソン病,ポリグルタミン病,ハンチントン病などの神経変性疾患に共通する病因として構造異常を起こしたタンパク質すなわちミスフォールディングタンパク質の凝集・蓄積(アミロイド線維形成)であるとの考えが有力となっています。中枢神経系の細胞では,細胞分裂によって細胞構成成分をリセットできる通常の細胞とは異なり,個体の寿命とほぼ同等の期間,ほとんど分裂することなしに存在し続けなくてはならないことから,異常タンパク質の修復(リフォールディング)および除去のための生理的な防御システムすなわちタンパク質の品質管理機構-分子シャペロン系とタンパク質分解系-の正常な機能が非常に重要となっています。このようなタンパク質の品質管理機構の破綻が,様々な病気の要因となることが明らかと成りつつあることから,精力的に研究が行われております。
また,タンパク質の凝集は,生化学・医学分野のみならずバイオテクノロジーの分野においても重要な現象の一つとなっています。遺伝子操作技術の進展により,大腸菌などの外来の宿主を生産系として有益なタンパク質の大量かつ安価な生産が可能となり,医薬品や家庭生活用品などに用いられています。しかしながら,産生された直後の新生タンパク質は疎水性アミノ酸残基が露出しているため,疎水性相互作用により容易に凝集し,多くの場合,封入体と呼ばれる不活性かつ不溶性の凝集体を形成するという問題点があります。これらの変性タンパク質が生物的活性を持つ状態に回復するために,細胞内における分子シャペロンによるフォールディングを模倣したリフォールディング操作によりタンパク質を本来の高次構造へと導く必要があります。リフォールディングプロセスとしてタンパク質凝集抑制剤の添加によりタンパク質の再凝集を抑制し,リフォールディングを促進する方法(人工シャペロン法)や,逆相ミセル内の水相をリフォールディングの反応場として利用するシステム,リポソーム固定化クロマトグラフィー,サイズ排除クロマトグラフィーを用いたシステムなどが報告されております。
現在,タンパク質のアミロイド線維形成機構の解明,ポリマーを用いた人工シャペロンシステムの検討,架橋反応を利用したタンパク質オリゴマーの調製およびその特性評価に関する研究を行っています。また,界面活性剤や色素などの低分子とポリペプチド間の相互作用についても併せて検討をおこなっています。
研究論文
- lmmobilization of lysozyme on poly (N-isopropyl acrylamide)/2-hydroxyethyl methacrylate copolymer core-shell gel beads,D.Takahashi,T.Hamada,T.lzumi,Polymer Bulletin, vo1.68,1777-1788(2012)
- Activities of Lysozyme Complexed with Polysaccharides and Potassium Poly (vinyl alcohol sulfate)with Various Degrees of Esterincation,D.Takahashi,K,Uchida,T.lzumi,Polymer Bulletin, 67, 741-751(2011)
- lnduction and lnversion of Chirality in Poly-L-Lysine and Methyl Orange Complex,D.Takahashi,R.Tanabe,T.lzumi,Joumal of POlymer Science Part A: Polymer Chemistry, 49,1691-1698(2011)
- Substituent effects on aggregation phenomena in aqueous solution of thiacarbocyanine dyes, D.Takahashi, H.Oda, T.Izumi, R.Hirohashi, Dyes and Pigments, Vol.66, 1-6 (2005)
- Effects of Surface Charge Distribution of Proteins in Their Complexation with Polyelectrolytes in an Aqueous Salt-Free System, D.Takahashi, Y.Kubota, K.Kokai, T.Izumi, M.Hirata, E.Kokufuta, The ACS Journal of Surface and Colloids Langmuir, Vol.16, No.7, 3133-3140 (2000)
所属学会及び学外での活動
所属学会
日本化学会,高分子学会,日本生化学会
研究室紹介
和泉研究室(高分子物理化学,生体機能化学)
教授 和泉 剛 | |
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メールアドレス | izumi.tsuyoshi メールの送信時にはネームの後ろに@nihon-u.ac.jpを追記してください。 |
「 高分子 」 から 「 超分子」の世界へ
タンパク質などの生体高分子が単独で示す機能だけでなく,高度に集合することによって示す機能を解明することは,生体内反応を理解する上で重要となります。本研究室では,これらのモデルとしてタンパク質間の反応や幾つかの高分子や低分子との反応およびその機能について検討を行っています。また,複合化の際の供試料の選択により,様々な機能を付与することが可能となります。
主要研究テーマ
- 分子インプリント法を用いたタンパク質の特異的認識担体の調製に関する研究
- タンパク質間およびタンパク質/水溶性高分子間複合体の形成機構とその生物化学的特性評価(タンパク質のアミロイド線維の形成,タンパク質のリフォールディング方法の開発,タンパク質オリゴマーの調製)
- 熱応答性高分子の機能発現の解明とその材料構築