齊藤 和憲さいとう かずのり
准教授 博士(理学)
メールアドレス | saitou.kazunori メールの送信時にはネームの後ろに@nihon-u.ac.jpを追記してください。 |
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居室 | 29号館507号室 研究室紹介 |
専門分野 | 分析化学,分離化学 |
担当科目 | 分析化学I(S),分析化学II,基礎無機化学,基礎物理化学,応用分子化学実験I(S),応用分子化学演習I(S) |
出身地 | 千葉県 |
趣味 | バスケットボール |
経歴 |
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研究テーマ・概要
ライフサイエンスをはじめとするきわめて広範囲な科学の領域で多用されている分析法に液体クロマトグラフィーがあります。液体クロマトグラフィー(LC)にもいくつかの種類がありますが、その中でも代表的なカラム吸着クロマトグラフィーを例に挙げて、その原理を説明します。吸着剤であるシリカゲルや活性炭などの粉末(固定相)をカラム(円筒状の管)中に充填します。このカラムの中に固定相と溶け合わない溶液(移動相)を流します。そして移動相を流しながら、分離したい成分を含む試料溶液を注入します。すると固定相に対する溶質の吸着力の差によって、複数の溶質はカラム中を通過する間に分離します。他の種類のクロマトグラフィーについても、固定相や移動相、試料溶液などは変わりますがほぼ同じような原理です。まとめますと、LCとは、「固定相を充填したカラム中に移動相を流しながら、分離したい試料を注入し、カラム中を通過する間に分離するシステム」ということになります。現在のLCは完全に機器化され、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と呼ばれていますが、基本原理に違いはありません。HPLCは現在まで約30年が経過しましたが,その関連技術を含め,HPLC分析法の発展は他に類をみないほど質的,量的に拡大し定着しています。しかし、現在のHPLCでは、分離したい、またはその存在量を測定したい物質すべてに対して必ずしも対応できていないのが現状です。今後、さらに分離対象物質が増えていくことを考えると、測定の質及び量の両面において要請が強まっていくと考えられます。そこで、新しい分離選択性をもつ高速液体クロマトグラフィーの開発を目指して研究を行なっています。
主な研究テーマ
オンライン酸化還元化学種変換法を利用した高選択的HPLCシステムの構築
2つの分離カラム(固定相が充填されたもの)の中間に,酸化還元反応によって目的物質だけを化学種変換(たとえばCo(II)をCo(III)に変換)できるユニットを設置します。これにより,目的物質の固定相に対する溶質の吸着力は,ユニットの前後に設置された分離カラムで異なるため,選択的分離が可能となります(右の図ではCoの分離が達成)。このように酸化還元ユニットを組み込むことよって選択性の高いHPLCシステムを構築しています。
研究論文
- K. Saitoh, N. Soeta, H. Minamisawa, M. Shibukawa, "On-Line Redox Derivatization Liquid Chromatography for Selective Separation of Fe(II) and Fe(III) Cyanide Complexes Using Porous Graphitic Carbon", Analytical Sciences, 2013, 29, 715-721.
- K. Saitoh, K. Koichi, F. Yabiku, Y. Noda, M.D. Porter, M. Shibukawa, "On-Colum electrochemical redox derivatization for enhancement of separation selectivity of liquid chromatography :Use of redox reaction as secondary chemical equilibrium", Journal of chromatography A , 2008, 1180, 66-72.
- K. Saitoh, S. Naitoh, M. Endo, M. Washiya, M. Shibukawa, "On-line electrochemical redox derivatization for enhancement of separation selectivity of liquid chromatography", Bulletin of the chemical society of Japan, 2007, 80, 1-6.
- K. Saitoh, N. Yamada, E. Ishikawa, H. Nakajima, M. Shibukawa, "On-Line Redox Derivatization Liquid Chromatography Using Double Separation Columns and One Derivatization Unit", Journal of separation science, 2006, 29, 49-56.
- M. Shibukawa, H. Terashima, H. Nakajima, K. Saitoh,"Evaluation of the Surface Charge Properties of Porous Graphitic Carbon Stationary Phases Treated with Redox Agents", The Analyst, 2004, 129, 623-628.
- 石井一行,田中由香,秦恭子,後藤将治,齊藤和憲,南澤宏明,渋川雅美,"水性二相系高速向流クロマトグラフィーによる無機イオンの分離", 分析化学, 2004, 53, 911-917.
所属学会及び学外での活動
所属学会
日本化学会,日本分析化学会
学外での活動
日本分析化学会幹事 (2006 - 2013)
研究室紹介
齊藤研究室
准教授 齊藤 和憲 | |
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社会の安全と科学の発展に役立つ新しい分析システムを創製する。
大気・河川水・海水などの環境中や食品・農作物中の微量有害物質、あるいは生体試料中の生理活性物質・医薬品などを、その場で迅速に、簡単かつ正確に測定する分析手法・機器の開発が求められています。
また,新しい分析手法によって、これまでわからなかったことが明らかになり、科学の飛躍的な発展に寄与することが可能となります。
このような観点から、当研究室ではこれまでの分析手法になかった新しい原理・技術を利用して、社会に役立つ新しい分析法や分析システムを創製するための研究を行っています。
主要研究テーマ
- オンライン酸化還元化学種変換を利用した高選択的液体クロマトグラフシステムの開発
- ヘリウムマイクロプラズマを利用した微量物質測定用原子発光検出デバイスの開発
- 液滴を用いたマイクロ抽出法の開発
- 高温高圧水クロマトグラフィー装置の開発と分離機構の解明